思考教育について

天声人語の要約国語力を養います

天声人語の大意要約

灘学習院では、小学校5年生以上の全生徒を対象に、『天声人語』を読んであらすじにまとめる宿題を課しています。
宿題には次の2つのルールがあります。一つは、603字で書かれている原文を、250~300字で要約すること。もう一つは、毎週2つずつ、継続的に取り組むことです。
『天声人語』は、時事的話題をテーマに、独自の視点で書かれた良質の教材です。それを読んで大意を把握し、自分の言葉でまとめる取り組みは、読解力と表現力を高めるよい訓練になります。

大切な親子での意見交換

『天声人語』は完全に大人向けに書かれた文章であり、特に小学生にとってはかなり難解な文章です。
でも、この難解な文章に毎週取り組むことで大きな成果が得られます。
まず、中学入試から大学入試まで、受験に有利に働きます。
入試問題に用いられる文章は、ある一定のレベル以上の学校であれば、大人向けに書かれた文章であることがほとんどです。
その中では、大人であれば当然知っているであろう事柄について、わざわざ解説がなされたりすることはありません。
『天声人語』に散りばめられた様々な言葉や知識を確認しながら読むことで、大人向けの文章を難なく読めるだけの力が身につきます。

また、毎週要約練習を積むことで、文章の要旨だけを取り出す訓練になります。
昨今の入試問題は国語に限らず、理科や社会、ひいては算数・数学においても文章が長文化しています。
その中で文章の要旨だけが取り出せるようになっていれば、問題文を読むことだけに時間を取られることなく、考えることに時間を割けるようになります。

さらに、毎週原稿用紙を目の前にして記述の練習を積むことで、国語の記述問題を怖がらなくて済むようになったり、作文コンクールでよい成績を修めたり、といった効果もあります。
こうした訓練は、ご家庭では長く続けることがなかなか難しいものです。
灘学習院では、授業中にこうした効用を子どもたちに伝えたり、年に6回優秀作品が選ばれる「傑作選」に載ることを目標にしたりしながら、子どもたちのモチベーションを高めています。

603字を一行にまとめる力を養います

大意要約とは、読んだ文章の内容に基いて、自分が考えた結果を自分の言葉で文章化する作業です。要約することにより、内容に対する理解が深まります。
もう一つ『天声人語』を利用して読解力を高める練習法があります。最初は、元の文章を半分にまとめます。これができれば、次は100字に絞り込んでみる。最終的には、一行だけを抜き取るならどの文章かと考える。一行だけでは意味がわかりにくい場合には、どのような文章を補えば、書き手の主張が伝わるかを考えさせる。『天声人語』をはじめとする新聞朝刊のコラムを使えば、読解力を高めることができるのです。